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補聴器をつけても「聞き取りにくい」のはなぜ?

NHKあさイチで紹介された「聞こえ」の悩みから考える補聴器との付き合い方

はじめに
こんな「聞こえ」の変化はありませんか?
「最近、テレビの音が大きくなった」
「何度も聞き返すようになった」
「補聴器をつければ、すべての会話が聞こえるようになるの?」

聞こえに関する悩みは、人によってさまざまです。

NHKの「あさイチ」(令和8年9月14日放送分)でも、補聴器や聞こえについて特集が放送され、多くの視聴者からさまざまな体験や疑問が寄せられていました。

今回は、その中から補聴器を検討している方や、すでに補聴器を使っている方にも参考になる内容を取り上げ、補聴器との付き合い方について簡単にまとめます。


補聴器をつけると「音が大きすぎる」と感じることがある

補聴器を初めてつけた方から、

「今まで聞こえていなかった音まで聞こえる」
「周りの音がうるさく感じる」

これは、補聴器が故障しているということではありません。

聞こえが低下すると、それまで耳に入っていても意識できなかった音が少なくなります。そこに補聴器をつけることで、生活の中にあるさまざまな音が再び聞こえてくるため、最初は「音が大きくうるさい」と感じることがあります。

番組では、こうした状態から少しずつ音に慣れていくことについて紹介されていました。

認定補聴器技能者からのコメント

初めて補聴器をつけると、多くの方が今までの聞こえより周囲の音が大きく感じるようになります。これは、今まで聞き取れていなかった小さな音や遠くの音が、補聴器を通して聞こえてくるからです。

また、自分の声の響きもあるため、装用初期はご自身の声に違和感を感じる方が一定数いらっしゃいます。

番組内では「リハビリ」と言っておりましたが、まさに補聴器の音に慣れるための継続的な装用訓練を経て、快適に装用できるようになります。


補聴器は「買ったら終わり」ではありません

補聴器は眼鏡のように購入してすぐ完成するものとは少し違います。

実際に生活の中で使ってみると、

音が大きく感じる
特定の音が気になる
テレビは聞きやすいけれど会話は聞きにくい
静かな場所では聞こえるのに、騒がしい場所では聞き取りにくい

など、さまざまなことが分かってきます。

そのため、使用してみた結果をもとに、聞こえ方を確認しながら調整していくことが大切です。

認定補聴器技能者のコメント

弊社では補聴器のお渡し後120日以内は、何回でも無料で調整させていただきます。

調子が良くても、快適な音量になるまでは通常3〜4回の調整が必要となり、その後も年に数回の点検をおすすめしています。


静かな場所では聞こえても、騒がしい場所では聞き取りにくい

番組では、

「補聴器をつけると静かな場所では会話が分かるようになったけれど、居酒屋など周囲が騒がしい場所では聞き取れない」

という悩みも紹介されていました。

これは補聴器を使えば、どのような環境でも会話が完全に聞き取れるようになる、というわけではないことを示しています。

人が多い場所では、周囲の話し声や食器の音、店内のBGMなど、さまざまな音が同時に耳に入ります。

補聴器には周囲の騒音を抑えたり、会話を聞き取りやすくしたりするための機能がありますが、騒がしい環境での聞き取りには限界があります。

認定補聴器技能者からのコメント

騒音下での聞き取りの改善は、難聴者にとって難しい課題です。相手の話し方や周囲の騒音レベルによっては、たとえ高性能な補聴器でも改善が難しい場合があります。

調整担当者とよく相談して、マイクの感度調整や騒音抑制レベルの設定をしてもらいましょう。


部屋の「響き」も聞き取りに影響します

聞き取りにくさは、補聴器だけの問題ではありません。

硬い床や壁、天井などに囲まれた部屋では音が反射し、声が響いて聞き取りにくくなることがあります。

例えば、

カーテン
ソファ
クッション
本棚や本
吸音性のある素材

などがあることで、室内の音の反響を抑えることができます。

「補聴器を調整すればすべて解決する」と考えるのではなく、聞く環境を整えることも聞き取りやすさにつながります。

認定補聴器技能者からのコメント

硬い床や大きなガラス窓などがあると音が反響しやすくなり、残響音によって細かい言葉の聞き取りに影響が出ることがあります。

紹介された吸音素材の検討や、補聴器に「残響抑制機能」がついたものを選ぶのもおすすめです。


会話をする相手にも、ちょっとした工夫を

補聴器を使っている人との会話では、「もっと大きな声で話せばいい」と考えがちです。

しかし、大声にするだけでは十分とは限りません。

例えば、

相手の正面から話す
周囲の騒音をできるだけ減らす
早口にならないようにする
複数の人が同時に話さない
大切な内容は確認しながら話す

といった工夫も、会話を助けます。

聞こえの問題は、補聴器を使う本人だけの問題ではなく、話す側と聞く側の双方で工夫することで改善できる部分があります。

認定補聴器技能者からのコメント

補聴器を装用している方には、大きな声よりも表情や口元が見えるようにして、ゆっくりはっきりと話すことが大切です。

つい急いで早口になると、聞き取れなくなるばかりか、余計にたくさん話さなくてはいけなくなるのです。


耳が痛い、かゆい、蒸れるときは我慢しない

番組には、補聴器を使っていて「耳がかゆい」という相談も寄せられていました。

また、イヤモールドなどが耳に当たって痛みが出るケースもあります。

補聴器を使い始めたばかりの時期には、装用感について気になることが出てくる場合があります。

「そのうち慣れるだろう」と我慢して使い続けるのではなく、痛みや違和感がある場合は、補聴器の形状や装用状態を確認してもらうことが大切です。

耳の中に痛みや炎症、強いかゆみなどがある場合は、耳鼻科への相談も必要です。

認定補聴器技能者からのコメント

耳の中も汗をかくので、湿っぽさやかゆみが生じたときには補聴器を外して、耳の中に空気を入れ替えましょう。

また、綿棒や耳かきなどで耳の中を強く刺激すると、余計にかゆみが出やすくなることもあるので注意してください。

イヤモールドや補聴器の形状による痛みがある場合には、作り直しのサービスがありますので、お早めにご相談ください。


補聴器は「値段」だけで選ばない

補聴器には、さまざまな価格帯や機能があります。

高価な補聴器ほど、必ずしもすべての方にとって聞きやすいとは限りません。

大切なのは、「自分の聴力や生活環境に合っているか」ということです。

補聴器選びで大切なこと
  • 聴力に合わせた調整
  • 実際に使った後の再調整
  • 操作方法の説明
  • 定期的な点検やメンテナンス
  • 購入後の相談やサポート

補聴器は、購入して終わりではありません。実際の生活の中で使いながら、聞こえ方や使い方に合わせて調整を重ねていくことも、長く快適に使うための大切な要素です。

認定補聴器技能者からのコメント

補聴器は価格によって搭載されている機能や性能に違いがありますが、高価なものを選べば必ず聞き取りやすくなるというわけではありません。

例えば、目立ちにくさを優先するあまり、電池や本体が小さくなって使いづらくなってしまうことがあります。また、強力な騒音抑制機能が搭載されていても、普段は静かな環境で補聴器を使うことが多い方には、必ずしもその機能が必要とは限りません。

補聴器の価格には、搭載されるさまざまな機能だけでなく、小型化するための技術やコストも含まれています。

どのような機能が必要なのか、どのくらいの大きさなら使いやすいのかを担当者とよく相談したうえで、ご自身の生活に合った補聴器を選ぶことが大切です。


補聴器と集音器は違います

番組では、補聴器と集音器についても取り上げられていました。

どちらも音を聞きやすくする目的で使われますが、同じものではありません。

補聴器は、使用する方の聴力に合わせて調整して使用する医療機器です。

一方、集音器は、周囲の音を集めて大きくすることを主な目的とした製品です。

選ぶときに大切なこと

「できるだけ安く購入したい」「小さく目立たないものが欲しい」という理由だけで決めるのではなく、自分がどのような聞こえの問題を抱えていて、どのような場面で使いたいのかを考えて選ぶことが大切です。

認定補聴器技能者からのコメント

「集音器」はテレビショッピングや新聞広告、家電量販店などで手軽に購入できますが、購入後は説明書などを確認しながら、ご自身で調整して使用することになります。

一方、「補聴器」は購入前の段階から、聴力や聞こえの状態を確認し、専門家がその方に合わせて調整したうえで試聴することができます。

さらに購入後も、実際の生活で使ってみて気になることを相談しながら、調整や使い方のサポートを受けることができます。補聴器に慣れて、より使いこなせるようになるまで、一緒に聞こえの改善に取り組んでいけることも、補聴器を専門店で購入する大きなメリットの一つです。


補聴器を使い始めたら「慣れるまで」が大切

今回の「あさイチ」の特集で繰り返し紹介されていたのが、補聴器を使い始めてから、少しずつ聞こえに慣れていくという考え方です。

最初から完璧な聞こえを目指すのではなく、実際の生活で使いながら、

  • 「この音は大きい」
  • 「この場所では聞き取りにくい」
  • 「テレビはもう少し調整したい」

など、自分にとって気になることを確認していきます。

そして、その内容をもとに調整を行う。この繰り返しによって、補聴器をより自分の生活に合わせていくことができます。

認定補聴器技能者からのコメント

テレビで紹介された「宇都宮済生会病院」で行われている「宇都宮方式」による聞こえと脳のトレーニングでは、3か月かけて徐々に音量を上げていき、難聴によって音の入力が少なくなった状態から、より多くの音を受け入れられる状態を目指していくトレーニングが行われています。

弊社でも、この方式を取り入れている耳鼻科と連携し、補聴器外来を行っています。

また、店頭でも試聴からご購入後4か月程度までの期間をかけて、少しずつ音に慣れていただくことを大切にしたフィッティングを行い、一人ひとりの聞こえの改善に取り組んでいます。


まとめ

今回の「あさイチ」では、補聴器を使っている方や、聞こえに悩んでいる方から多くの声が寄せられていました。

その内容からも分かるように、補聴器は単純に「音を大きくすれば聞こえる」というものではありません。

その人の聴力、生活環境、聞きたい場面に合わせて調整し、実際に使いながら、より適した状態を探していくことが大切です。

そして、補聴器だけではなく、聞く環境や会話する相手の工夫も、聞き取りやすさを左右します。

認定補聴器技能者からのコメント

補聴器との付き合い方について、今回は「あさイチ」で紹介された内容をもとに、私たちが日頃の相談や調整で感じていることも交えながら解説しました。いかがでしたでしょうか。

今回の番組では、「聞き取り困難症 APD/LiD」など、補聴器だけではなく「聞こえ」そのものについて考えるテーマにも触れられており、幅広い内容が取り上げられていたことが印象的でした。

聞こえについて気になることがある方や、補聴器を使っていて「もう少し聞きやすくならないかな」と感じている方にとって、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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