補聴器は「両耳」につけるべき? 片耳との違いと、両耳装用をおすすめする理由

補聴器をご検討中のお客様から、よくこのようなご質問をいただきます。
「補聴器は両耳につけたほうがいいのでしょうか?」
「まずは片耳だけでも十分ではありませんか?」
補聴器は決して安い買い物ではありません。左右どちらにも補聴器をつけるとなると費用も2台分になりますから、 「できれば片耳だけで済ませたい」と考えるのは自然なことです。
では、実際にはどうなのでしょうか?
結論からいうと
左右両耳に難聴がある場合は、両耳装用をまず検討することをおすすめします。
その理由は、単純に「音を大きくするため」だけではありません。
私たちは、左右の耳から入ってくる音を脳で統合することで、 「どこから音が聞こえてきたのか」「誰が話しているのか」「周囲にどんな音があるのか」 を判断しています。
補聴器も、左右それぞれの耳に合わせて調整することで、本来の「両耳で聞く」状態に近づけることができます。
ここでは、片耳装用と両耳装用の違い、そして当センターが両耳装用をおすすめする理由について、分かりやすく解説します。
なぜ両耳装用がおすすめなの?
知っておきたい3つの理由
1.周囲の音を「どちらから聞こえてきたか」判断しやすくなる
私たちは、左右の耳に届く音のわずかな時間差や音量差を利用して、音の方向を判断しています。
たとえば、
- 後ろから声をかけられた
- 横から車が近づいてきた
- 家の中でテレビとは反対側から家族に話しかけられた
- 食卓で隣や斜め前の人から話しかけられた
といった場面です。
両耳から音を取り入れることで、左右の情報を利用しやすくなり、 周囲の音をより立体的に捉えやすくなります。
ただし、補聴器を両耳につければ、必ず音の方向が正確に分かるようになる、というわけではありません。
補聴器そのものの処理によって、自然な音の手がかりが変化することもあります。 そのため、最近の補聴器では左右の補聴器を連携させながら、より自然な聞こえを目指す技術も使われています。
「聞こえる」だけでなく、 「周囲の音をどう捉えるか」という点も、両耳装用を考える重要なポイントです。

2.騒がしい場所で、会話を聞き取りやすくするため
補聴器を使う方から、
というご相談をよくいただきます。
実は、これは補聴器を使っている方にとって非常に大きな課題のひとつです。
周囲に人の話し声や食器の音、テレビや空調などがある環境では、 単純に音を大きくするだけでは会話は聞き取りやすくなりません。
両耳から音を取り入れることで、左右それぞれに入ってくる情報を脳が統合できるため、 片耳だけの場合とは異なる「両耳で聞く」メリットが得られます。
また、現在の補聴器には、
- 指向性マイク
- 雑音抑制
- 左右の補聴器間の通信
- 話し声を強調する機能
など、騒音下での聞き取りを助けるさまざまな技術が搭載されています。
ただし、こうした機能の効果には個人差があります。
そのため当センターでは、聴力だけを見て「この機種なら大丈夫」と判断するのではなく、 実際にどのような環境で会話をすることが多いのかを伺いながら調整しています。
3.片耳だけに頼るより、「左右の聞こえのバランス」を整えやすい
左右両方に難聴があるにもかかわらず、片耳だけに補聴器をつけると、当然ながら左右の耳に入る音の情報量には大きな差が生まれます。
両耳装用では、左右それぞれの聴力に合わせて補聴器を調整することで、 左右の聞こえのバランスを整えながら聞くことができます。
「両耳で聞く」というのは、
「右耳+左耳=音が2倍になる」
という単純な話ではありません。
左右の耳から入った情報を脳が統合することで、私たちは普段の会話や周囲の音を聞いています。
そのため、左右両耳に難聴がある方の場合、 「聞こえる方の耳だけ補聴器をつければいい」とは限らないのです。
「両耳装用」と「片耳装用」は、どちらがいい?
ここまで読むと、
と思われるかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
補聴器は、一人ひとりの聴力や生活環境、予算、操作性などを総合的に考えて選ぶ必要があります。
片耳装用を検討することがあるケース
たとえば、
- 左右の聴力差が大きい
- 一方の耳の聞こえが比較的良好
- 片耳の難聴が中心である
- まずは1台から補聴器に慣れてみたい
- 操作や装着に不安がある
- ご予算の関係で、まず片耳から始めたい
といった場合には、片耳装用が適していることがあります。
つまり、「両耳装用=正解、片耳装用=間違い」ということではありません。
大切なのは、その方の聴力と生活に合った選択をすることです。

「両耳にするか迷う」という方におすすめしたいこと
補聴器を初めて購入される方の場合、
と感じるのは当然です。
そこでおすすめしたいのが、 実際に片耳と両耳を聞き比べてみることです。
例えば、
など、普段の生活を想定して聞き比べてみると、片耳と両耳の違いを実感できることがあります。
特に、普段からこんな希望がある方は、両耳装用を一度試してみる価値があります。
「家族との会話をもっと楽にしたい」
「外食や旅行でも会話を楽しみたい」
「後ろや横から話しかけられたときにも気づきたい」
なかだて補聴器センターでは
「両耳をおすすめすること」と「両耳を無理に勧めること」を分けて考えています
私たちが大切にしているのは、 「高い補聴器を2台販売すること」ではありません。
お客様が補聴器を購入したあと、
「両耳にしてよかった」
「これなら家族との会話が楽になった」
と感じていただけることです。
そのため、左右両耳に難聴がある方には、まず両耳装用のメリットをご説明します。
一方で、
- 「まずは片耳から試したい」
- 「予算を抑えたい」
- 「自分には本当に両耳が必要なのか確認したい」
というご希望も、もちろん大切にしています。
実際に片耳・両耳それぞれを試していただき、 ご本人が「どちらが自分の生活に合っているか」を確認してから決める こともできます。
補聴器選びで大切なのは、「音を大きくすること」だけではありません。
「必要な音が聞き取りやすいこと」
「会話がしやすいこと」
「周囲の音を自然に感じられること」
「毎日無理なく使い続けられること」
両耳装用にするか、片耳装用にするか迷っている方へ
ぜひ一度、実際の聞こえ方を比べてみてください。
なかだて補聴器センターでは、聴力測定や補聴器の試聴を通じて、 お一人おひとりの聞こえ方や生活環境に合わせた補聴器選びをお手伝いしています。
「両耳にしたほうがいいの?」というご相談だけでも、どうぞお気軽にお越しください。
無理に購入をおすすめするのではなく、 片耳と両耳、それぞれのメリット・デメリットを確認したうえで、ご本人が納得できる選択をしていただくこと。
それが、なかだて補聴器センターの考える補聴器選びです。

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